
キーケット2025に参加しました
2025/03/22(土)に開催された キーボードマーケット トーキョー(キーケット)2025 に参加し、自作キーボード くっつきー を初頒布しました。本記事では、イベント当日の雰囲気と取り組みの経緯、さらに今後の展望をお伝えします。
なお、製品自体の設計詳細や開発の歴史については、後日別記事で公開予定です。
イベント当日の様子
設営まで
数日前から持ち込み品を整理していたものの、荷物が想像以上に多く苦労しました。商品だけでもかさばるうえ、総重量は10kg超。スーツケースにはそのほかの荷物を詰めざるを得ず、肩で担いで移動したので腕がもげそうでした。とはいえ、なんとか会場へ到着し、設営に取り掛かれたのは幸いでした。
入場開始直前にギリギリで撮れたブース写真。イベント中に撮れた写真はこれだけでした
開場
先行入場直後は落ち着いていましたが、時間が経つとブースに来てくださる方が徐々に増え、一般入場の時点で一気に行列ができました。ありがたいことに、「買うと決めて来た」という方や、技術書典で頒布した本を読んでくださった方もいらっしゃり、大きな励みになりました。
一方で、ブース側の手際がかなり悪く、商品をお渡しするまでお待たせしてしまい申し訳なかったです。後述しますが、初回の要因が多く、次回からはスムーズにお渡しできるはずです。
とてもありがたいことに、お品書き掲載分は全て完売できました。が、SNSで進捗を呟く暇が無く、そちらも不十分で申し訳ありませんでした。
イベントが進んでからも、とおりがかりに興味を持ってくださる方がいらっしゃり、開始から人が途切れない状況でした。気づけば5時間も立ちっぱなしでさすがに膝裏に堪えました[1]が、体感ではあっという間でした。
メディア紹介
当日の様子は、記事や動画でもいくつか取り上げていただきました。
おなじみITmediaさんに来訪いただき、即日でショート動画を公開していただき驚きました。記事と長い動画でもご紹介いただき、嬉しい限りです。
トバログさん、monographさんにもおしゃれな動画で紹介いただきました。
もし他にも記事や動画がありましたら、ぜひご一報いただけると幸いです。
課題と反省点
初めてのハードウェア販売ということもあり、多くの問題が露呈しました。次のイベントに活かしていきたいです。
- 物の場所がわからない
どの箱に何を入れたかを把握できず、設営や商品お渡し時に探すのに時間がかかりました。しっかり整理し、メモをつける工夫が必要です。 - 複雑なお品書き
色や種類が混ざり、本人でさえ即座に把握できない状況でした。生産数のミスもありましたので、次回は統一したいです。 - 決済が通らない
普段使っていないSquareなせいか、またはカード会社が気を利かせたのか、クレジット決済が通らないことがありました。ありがたいことに皆様現金もあったため事なきを得ましたが、何とか安定させたいです。 - お品書きの更新忘れ
在庫チェックの紙を用意していたにも関わらず、反映するのを忘れて残数を把握しきれませんでした。その場で都度チェックを入れないといけないですね。 - 説明が困難でお手伝いを頼みにくい
難しい製品の即売会にありがちな悩みですが、製品説明が複雑なため、当日は常に作者本人が対応せざるを得ず、トラブル対処や他の対応がしづらかったです。何らか作者が席を外す必要があるトラブルを想定すると対策が必要です。 - ポスターが巻いてしまう
PO.SU.TA対応サイズでしたが、下の棒が短かいせいで巻いてしまいました。棒を作成して対処してみます。 - テザリングが不安定
自分のスマホでテザリングできず苦労しました(お手伝いさんのスマホが使えたので事なきを得ました)。思ったよりREMAPを試す人は少なかったようなので、オフラインデモでも問題なかったかもしれません。 - 設営・撤収に時間がかかりすぎ
前述の通り、どの箱に何が入っているか分からず、展示品もいろいろあったためバタバタでした。設営がギリギリで、SNSでの設営完了告知もできずじまい、持ってきたアルチザンキーキャップたちも展示に使う余裕がありませんでした。余裕を持った準備が大切。
準備と取り組み
ここからはイベントに向けて取り組んだことを記します。
とりあえず申し込む
申込みは開催の半年前です。半年の猶予があったとはいえ、できていたのはプロトタイプのみ。そこから各種モジュールの再設計をしつつ、トラックボールも一から設計する必要がありました。今から思えばギリギリのスケジュールですが、当時は何も気にせずとりあえず申し込みました。、結局、想像以上の修羅場でした。
11月には技術書典があり、そこでも修羅場に。今回の製品の基礎技術を書いた本は112ページになり、既に判明していることをまとめるだけでもかなりの労力を要することがわかりました[2]。こうして開発期間が減ってゆきます。
今まではほとんどソフトウェアが相手で、せいぜい印刷系で1週間前の提出が必要という程度だったので、ハードウェアの過酷さが身に染みました。基板設計とパーツ選定に数日、発注して届くまでに2週間、届いても動かなければ出し直し、という形でリードタイムが長いです。特に今回は基板設計、パーツ選定、ケース設計・印刷、ファームウェア改造など、初リリースのためすべてを手掛ける必要があり、単純にタスク量が多かったです。
年明け前に一息ついてタスク整理をしたところ、72個あり[3]一人では到底無理そうでした。
Webサイト制作
技術書典などで製品のプロトタイプを置いたり、知人に触ってもらって感想を訊いてみたところ、説明されないとケーブルの塊にしか見えない模様でした。逆に、説明をすると面白そうとのコメントをいただけることが多かったので、いかに上手く伝えるかが大きな課題でした。デザインの力が必要な場面です。初回販売するキーケットまでに、一目で特徴が伝わるコンテンツを作ることは重要なタスクでした。
Webサイトは仮置きしており、イベント前に作って差し替えようと思っていましたが、前述の通り全く間に合う気配がありませんでした。あったのはキャラクターイラストや3Dモデルくらい。
そのため、たまたま時間に余裕のあった知り合いのWebデザイナーさんにサイトをお任せすることにしました。ひと月ほどしか時間が無いという無茶な状況でしたが、1を伝えたら100の成果物が出てきました。さすが歴戦のデザイナー。
結果、特徴が分かりやすいサイトができ、サイトを見てブースに足を運んでいただいた方も多かったのかなと思います。
なお全体の印象としては、おもちゃのような楽しげな感じを出しつつ、あくまでキーボードなので落ち着いた雰囲気を併せたものを目指しています。また、キャラクターを添えることは開発当初から決めており、楽しい感じに一役買っていると信じたいところです。ゆるいキャラクターにしたのはただの趣味です。各モジュールにそれぞれキャラクターがいるのですが、時間が無さすぎて永遠にラフのままです。
写真
世の中に物撮りというカテゴリがあるほど、製品の写真は重要です。キーボードは#KEEB_PDというイベントで毎週とんでもなく良い写真が上がっていたりと、特に重要な気がしています。
私は全く写真の知見が無く、手持ちのスマホで撮ると、まるで良いものになりませんでした。さらに時間も無いので、知り合いの写真好きさんに撮影をお願いしました。我が家は撮影環境が整っておらず、様々な板や布を引っ張り出して試行錯誤しましたが、おかげさまでくっきり明るい写真ができました。さすがカメラマン、自然環境に合わせて解決策を模索するプロでした。
試行錯誤の結果
会場で流したPV
位置が良くなくあまり目に入らなかったかもしれませんが、iPadでPVをループ再生していました。Webサイトのトップで流れている動画を元に、ついでにWebデザイナーさんに作成いただきました。Webデザイナーとは何か。
時間が無く効果音などは入れられなかったのは心残りです。今後も操作動画、モジュール紹介動画などを追加してゆきたいです。
パンフレット・ポスター
当日用にパンフレットも作成しました。元々は名刺を作っていましたが、先述の通り特徴が伝わりにくいので、情報の多いパンフレットにしました。配布しやすく、机の前が埋まっていても、後列で待っていただいている方が読んで時間を過ごせるので良かったです。
印刷はラクスルさんに発注しました。ボリュームディスカウントが凄く効くので多めに刷りました。まだまだ余っているので、他のイベントでも配布する予定です。
なお、パンフレットも自分はラフだけで、デザイナーさんに完成まで持っていっていただいていました。本当にWebデザイナーって何。
パンフレット1
パンフレット2
ポスターは初めてB1を試してみました。かなりデカい。先述の通り巻いてしまったのと、そこまで大きい必要があるか分からないので、次回はひと回り小さくするかもしれません。
印刷はグラフィックさんに発注しました。RGB入稿ができ、色も意図通りに出ていました。
でっかポスター
展示物類
ブースを彩るために、パンフレットやポスター以外にも、値札や説明ポップなど数多くの小物を用意しました。イベント直前まであわただしく作成したため、やや不備もありましたが、会場の雰囲気づくりには一役買ってくれたように思います。
なお、全てその辺のコンビニさんで刷りました。
試打に添えた説明ポップ
値段を書き忘れたことに気づかなかったお品書き
モジュール値札たち。貴重な賑やかし要素
結局使わなかった不在札
カタログ・オンラインショップ
キーケットのWebカタログ、オンラインショップも適宜更新していました。しかし、そもそも製品が開発中で写真を撮れたのもギリギリだったので、直前まで差し替えていました。
ショップはとりあえずBOOTHで作成しました。設定を間違えてお知らせ登録を消してしまったり、モジュールが多くて管理が大変だったり色々な課題がありますが、イベントまでに体裁を整えることはできました。なお、4月中には入荷できるよう頑張っています。
キーケットを終えて
イベント後一息ついてやりたいことを書き出したところ、42個生まれました。まだまだやることは尽きません。
当面は二次ロットの製造を行っています。ただ発注し直すだけかと思いきや、パーツが枯渇していて代替品を探すなど、思った以上に手間がかかりました。現状、4月中には在庫が追加できそうなペースです。
ファームウェアもバージョンアップが既に2回入り、主にトラックボール関連の安定性向上やスクロール機能追加を行いました。
また、どうせ基板を発注するということで、新モジュールの設計や既存モジュールの改良も進めています。
モジュールによっては改良というより進化といえる変化を予定しており、もしかすると名前が変わるかもしれません。
まとめ
キーケットは初参加でしたが、とても楽しいイベントでした!ブースに来ていただいた皆様、お忙しい中ご購入いただいた皆様、そして運営の皆様に心より感謝します。開催2回目でこの規模・この練度は凄いの一言です。来年も楽しみですね。
製品としても、やれることは全部やろうという心意気で進めた結果、長い修羅場が続きましたが何とか初販売まで辿り着けました。先人の方々、制作に協力いただいた方々に深く感謝です。
かなり修羅場だったので燃え尽きる……かと思いきや、気付いたら回路を設計していたのでまだまだ作れそうです。今後も色々な展開を考えていますので、実現できるのかお楽しみいただけると幸いです。