「株式より有利な科学的トレード法」「超・株式投資」レビュー

2018-12-08

オプション投資は無限の組み合わせができて楽しいです。 しかしそれは、どのようなシチュエーションでどの戦略を取れば良いのかが分かりにくいことも意味します。

本記事では、そんなオプション戦略を解説してくれる、入門に優れた本を2冊まとめて紹介します。 ちなみに両方とも著者は同じで、内容もかなり被っています。

なお、読んだのは2015年ですが、当時書いたメモが残っており、もったいないので記事にしました。

株式より有利な科学的トレード法

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B079Z1FRW4/esplo06-22/

総評: +1 (オススメ)

著者のブログ記事によると、 タイトルの胡散臭さとレイアウトの悪さは出版社の都合 のようです。 そこを差し引いて考えれば、 内容はわかりやすく実践的 で、入門にはもってこいです。 後述の「超・株式投資」とは内容が被る箇所が多いので、オプションの戦略だけ知りたいなら本書だけで良いでしょう。

概要

主に下記6種類のオプションを使った手法を紹介し、原資産ホールドを上回るリターンを得られることを示しています。

  • プット売り・現金確保プット売り(CSP)
  • カバードコール(CCW)
  • バーティカル・スプレッド
  • バタフライ
  • アイアンコンドル
  • ダイアゴナル・スプレッド

良いところ

主要なオプションを使った戦略の説明と、それぞれ 利用シーンと例が載っている ため非常に分かりやすいです。 説明には原資産と比べたシャープレシオの改善が示されていたりと、入門には必要十分な情報が載っています。

また、各戦略は 実践的 な説明がされており、ロスカット基準などの出口戦略も記載されていることが多いです。 例えばブルプットスプレッドであれば、以下のような詳細な基準が書かれています。

  • ショートするプットは「原資産の価格から0.2×ivだけ低いストライク(K1)」
  • ロングするプットは「K1の3%下のストライク」
  • ロスカットは、損失が10%、またはK1より2%低くなったら行う

CCWではこう。

  • カバードコールにブルプットスプレッドを組み合わせ、カバードコールの利益を高める事ができる
  • 特に、「3%OTMのコールを売り、3%OTMのプットを売り、6%OTMのプットを買う」のが管理しやすい…

全体として、入門書として 必要な内容が良くまとまっています 。 同じ著者の本、「超・株式投資」、「週末投資家のためのカバードコール」の内容を集約したような構成になっており、この一冊で必要な知識は十分手に入るように思われます。

悪いところ

内容は上記の通り入門書として優れているのですが、それ以外の部分で減点要素があります。

何はさておき、 縦書きが非常に辛い です。数字が多く出てくるのに何故縦書きなのか。 また、「科学的」が何を指すのかが分からないです。エビデンスを調べて〜、ということを指すのであれば、株式でも可能なはずです。

これらは出版社都合なようで、その苦悩の一端は下記の 著者コメントに凝縮 されていますので、ここに引用します。

本のタイトルは、よほど著名な方でない限り、出版社が勝手に決めるという出版業界の悪しき慣習をご理解ください。本のタイトルと内容が乖離しているのは、本書だけではないはずです。「論文のタイトルは最も大事」とありますが、最も大事なのは内容です。しかし、論文の場合、タイトルは自分で決められるのでいいです。

http://blog.livedoor.jp/kappa_ccw/archives/52520559.html

まとめ

まとまりが良く読みやすいため、オプション取引に興味がある方には必読の一冊になっていると思います。 また、これを読んで分からなければ下記の「超・株式投資」や「週末投資家のためのカバードコール」を読む、というゲートウェイ的な使い方もできます。

超・株式投資

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775991299/esplo06-22/

総評: +0 (人によってはオススメ)

上記「株式より有利な(ry」と半分被るので、前半のETFの紹介が必要な人のみオススメです。

概要

2部構成になっており、前半はETFの比較、後半はオプション戦略について述べられています。 後半の内容は、上記「株式より(ry」と被ります。

良いところ

前半パートをざっくりとまとめると、 インデックス投資の勧めとETFの紹介 です。 この類の本は多いですが、 銘柄とそれらを組み合わせたポートフォリオ まで示してくれています。 比較的短くまとまっているので、今までインデックス投資について読んだことのない方にはお勧めです。

後半パートはオプション戦略の紹介で、主にCSPとCCWを使ったお手軽投資法です。 実際にオプションを使ってリターンがどれくらいになるのかが示されており、 ざっくりと外観を掴む のと 結果のイメージを掴む 、両方が可能です。

良くないところ

全体としてはまとまりが良いのですが、冗長だったり逆に知りたいことが書かれていなかったりします。

前半のETFパートでは、 正直掲載する必要のないと思える情報が沢山 あります。 読み物としては面白いですが。 後半のオプションパートでは、「どういう時に」「どれくらいのリスクを取って」やるといいのかが あまり明確ではありません

また、戦略を外観するのであれば、メリット・デメリットをまとめた表があると良いなと思いました。

まとめ

全体として冗長&結論がわかりにくい、といった欠点はあるものの、 実際に インデックス投資やCCW・CSPを始める後押しにはとても良い本でしょう。特に投資戦略をあまり知らない人が読むと、目から鱗な内容が沢山あるはずです。

ただし、後半パートについては前述の「株式ry」を読むと良いので、コスパは悪そうです。

合わせて読みたい

この本でもややこしい場合は、同じ著者の「週末投資家のためのカバード・コール」を読むと良いでしょう。内容が絞られておりよりシンプルです。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4775991221/esplo06-22/

この本も読んだのですが、ドキュメントを漁ってもレビューが見つからなかったので記事はありません……orz

他のレビューなど

他ブログでもレビューされていますので、参考にしてください。

大まとめ

kappaさんの本を2冊(実質3冊?)紹介しました。 ややこしそうなオプション取引ですが、使えると何かと便利です。 本書を読んで始めてみてはいかがでしょうか。

なお、補足情報が得られるため、合わせて著者のブログも読むのをお勧めします。

http://blog.livedoor.jp/kappa_ccw/

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